秋の読書特集 RIETI 経済政策レビュー、経済分析シリーズ

秋の夜長は読書をするにはもってこいの季節。
シリーズ刊行から3年目を迎えたRIETI 経済政策レビューと経済分析シリーズを統括し、この2年間にRIETIが取り組んできた研究プロジェクトを振り返ってみたい。

経済政策レビュー

『バランスシート再建の経済学』表紙

『バランスシート再建の経済学』

  • 深尾 光洋、寺澤 達也、小林 慶一郎 編著

担当編集者による読みどころガイド

本書は「バブル崩壊後の10年間、財政拡大・金融緩和をフル発動したにもかかわらず、なぜ日本経済は『失われた10年』に陥ってしまったのか」という疑問に明快に答える。その答えは実に単純で「バランスシート問題に正面から取り組んでこなかったため」と結論付ける。

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『日中関係の転機――東アジア経済統合への挑戦』表紙

『日中関係の転機――東アジア経済統合への挑戦』

担当編集者による読みどころガイド

最近、日米関係だけでなく、国際社会における日本の役割を考える必要性が強く問われています。日中関係やアジアにおける経済統合もその1つだといえます。本書は、東アジア経済統合という大きな視点から、日中関係のあり方を論じています。しかし、これは一筋縄ではいかない問題です。なぜなら日本は、歴史的な経緯もあって「アジアにおける地域的な枠組みの形成に主導的役割を担うことを回避してきた(本書第6章)」からです。

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『医療改革――痛みを感じない制度設計を』表紙

『医療改革――痛みを感じない制度設計を』

  • 川渕 孝一 著

担当編集者による読みどころガイド

日本の医療が抱えるさまざまな問題が多くの人の目に明らかとなってきています。実際、医療制度改革の必要性は声高に唱えられていますが、改革の道筋をどうつければいいのか。本書では「国民の負担増は不可欠だが、その負担増を国民が納得してくれるように、医療サービスの質を上げていかなくてはいけない」という立場から、さまざまな分析・提言を行っています。

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『モジュール化――新しい産業アーキテクチャの本質』表紙

『モジュール化――新しい産業アーキテクチャの本質』

担当編集者による読みどころガイド

本書は、モジュール化とは何かを論じた論文に始まり、コンピュータ産業、ベンチャー・エコノミー、ゲーム産業、自動車産業、半導体産業に至るまで、幅広い分野を分析の対象としています。モジュール化は、こうした幅広い分野を貫いて見渡すことができる、非常に刺激的な概念です。モジュール化とは、「字面では、『モジュール(部分)に分割し、分業すること』ということですが、これにとどまらない深い内容がこめられています」(はじめに)。

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『ブロードバンド時代の制度設計』表紙

『ブロードバンド時代の制度設計』

担当編集者による読みどころガイド

インターネットの出現により、社会はモノの生産が主体の社会から、情報社会へと一挙に進んできています。IT革命という喧噪は過ぎ去りました。しかし、ITを大きなトレンドとして時代が変わりつつあるのは事実でしょう。今は第二段階を迎え、音声や動画を送れるブロードバンド時代へと突入しています。インターネットは国民の誰もが広く利用でき、通信は伝送手段を超え、産業構造を変えるエンジンになりつつあります。

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『日本人のための中国経済再入門』表紙

『日本人のための中国経済再入門』

担当編集者による読みどころガイド

RIETIのウェブサイト内にある関氏のコーナー、「中国経済新論」を訪れると、その更新頻度と情報量の多さに驚かされます。日中関係を中心とした時論を展開する「実事求是」というコラム欄は週1回更新され、中国研究者による分析や提言も積極的に紹介されています。

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『知識国家論序説――新たな政策過程のパラダイム』表紙

『知識国家論序説――新たな政策過程のパラダイム』

担当編集者による読みどころガイド

本書は、「知識創造理論」の第一人者である野中先生を中心として、知識経営(ナレッジ・マネジメント)の視点から日本の政策形成を分析するという、挑戦的な試みをまとめたものです。民間の企業では、競争力を高めるために意識的に実施されているナレッジ・マネージメントですが、なぜ経営学のコンセプトで公的分野の政策形成を考えうるのか。その底流には、「政策形成過程は知識創造過程である」という認識があります。

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『産学連携――「革新力」を高める制度設計に向けて』表紙

『産学連携――「革新力」を高める制度設計に向けて』

担当編集者による読みどころガイド

最近誌面を賑わすキーワードの1つとなっている産学連携は「諸刃の刃」であると、編者の原山氏は指摘します。つまり、産学連携には、うまく使えば「人的資産の質のレベルアップ、イノベーション能力の向上、経済生産性の向上といったマクロレベルでも効果を誘発する」という面があるけれども、その一方で、企業・大学が互いの本来の姿を見失い、流行に乗せられて「大学の企業化」や「産業の下請け機関としての大学」に走ったのでは、それぞれが持つ本来の機能を低下させかねない危険があるというのです。

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『民意民力 公を担う主体としてのNPO/NGO』表紙

『民意民力 公を担う主体としてのNPO/NGO』

担当編集者による読みどころガイド

北川正恭・元三重県知事は本書のなかで、「この国の制度が旧態依然とした昔からのパラダイムで動いているところに現在の閉塞感の原因がある」と述べる一方で、「新しい価値観をどう創造するか、というところでみんな模索を始めている」と、変化の兆しを指摘しています。本書では、その変化の担い手となるであろうNPO/NGOに焦点をあてて、彼らが日本を変える可能性を探っています。

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経済政策分析シリーズ

『日本企業 変革期の選択』表紙

『日本企業 変革期の選択』

担当編集者による読みどころガイド

1980年代には礼賛論、90年代に入ると凋落論と、時代を通じ日本企業への評価は180度変わってきました。そして「もう日本型経営は通用しない」とか、「日本企業の競争力の復活には英米型の仕組みを導入することが必要」といった議論が登場しています。

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『金融ビッグバンの政治経済学――金融と公共政策策定における制度変化』表紙

『金融ビッグバンの政治経済学――金融と公共政策策定における制度変化』

担当編集者による読みどころガイド

多くの人は日本の政治に対して閉塞感を感じているかもしれませんが、戸矢氏は本書で、「1995年以来、日本政治は明確に変化しつつあると論じたい」と述べています。その題材として、96年の金融ビッグバンと、90年代の金融政治を取り上げています。

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『国境を超える市民ネットワーク』表紙

『国境を超える市民ネットワーク』

担当編集者による読みどころガイド

国際政治では長らく主権国家がほぼ排他的なまでに外交のプレイヤーとして君臨してきました。しかし冷戦を経た現在は、非政府組織(NGO)が新たな主体として認識されてきています。NGOはさまざまな分野で私たちの身の回りでも活躍しています。

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『転換期のWTO――非貿易的関心事項の分析』表紙

『転換期のWTO――非貿易的関心事項の分析』

担当編集者による読みどころガイド

「転換期のWTO」といったとき、どういった意味でWTOが転換期にあるのか、即答できる方はそれほど多くはないのではないでしょうか。残念ながら、日本では、WTOに対する一般的な関心がそれほど高くないようです。しかし、日本はGATT/WTO体制から多大な恩恵を受けてきた国であり、「WTOの将来の在り方は、われわれが真剣に考えなければならない問題」だといえるでしょう。

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『包括的地方自治ガバナンス改革』表紙

『包括的地方自治ガバナンス改革』

担当編集者による読みどころガイド

地方分権の動きが強まり、地方でも「大いなる制度改革」が進みつつある。この動きは、部分的・単発的・独立的な動きではなく、既存のシステムとは異なる原理に基づいて地方自治を創造するような勢いを持つ改革になっている。「地方分権すべし」と声高に唱える議論は数多くあるが、そうした制度変化がどのように生じているのかを分析したものは少ない。

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『企業福祉の制度改革――多様な働き方へ向けて』表紙

『企業福祉の制度改革――多様な働き方へ向けて』

担当編集者による読みどころガイド

経済政策分析シリーズの最新刊(03年9月現在)である本書は、今後日本において大きな課題となるであろう企業福祉について、経済学的視点から論じた、タイムリーな本です。そもそも、日本の企業福祉はどのような特徴を持っているのでしょうか。

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