『国境を超える市民ネットワーク』書評

国際政治では長らく主権国家が外交のプレーヤーとして君臨してきたが、現在はNGOが新たな主体として認識されている。冷戦後の世界の特徴は、NGOを中心としたネットワークおよびその支持基盤である各国内のシビルソサエティが国境を越えて連携し、トランスナショナル・シビルソサエティ(TCS)として、グローバルな規範形成に参画している現実にある。

本書は1990年代に相次いで誕生した環境・人道分野の代表的多国間条約-気候変動枠組み条約・対人地雷全面禁止条約・国際刑事裁判所設立規定-の成立過程へのTCSの参画を検証する。

※『国際開発ジャーナル』2003年7月号に掲載