日本の政策不確実性指数*
Japan Economic Policy Uncertainty Index

*この指数はEconomic Policy Uncertainty Project at PolicyUncertainty.com、国際通貨基金アジア太平洋局、独立行政法人経済産業研究所による国際共同研究「日本の政策不確実性」から得られた成果の一部である。

Figure: Japan Policy Uncertainty

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指数の概要

政策不確実性指数は政策をめぐる不確実性や政策との係わりで高まる経済の先行き不透明性を定量化するために作られた指標です。その指数はいくつかの段階を踏んで得られます。まず朝日新聞、日本経済新聞、毎日新聞そして読売新聞の4紙に掲載された記事のなかから、次の各カテゴリーにおける用語を少なくとも1つ含む記事を新聞ごとに月単位で収集します。
"Economy":経済、景気
"Policy":税制、課税、歳出、政府債務、規制、日本銀行など政策に関係する用語
"Uncertainty":不透明、不確実、不確定、不安
記事の収集は、各紙の新聞記事データベースである聞蔵IIビジュアル、日経テレコン、毎索そしてヨミダス歴史館を利用しておこないます。記事の収集開始月は1987年1月です。次に、収集された記事の月間件数を同じ月の総記事数で割ります。この相対記事件数のデータには季節性がみられるため、季節調整をおこないます。また、そのデータのばらつきが新聞間で異なります。その違いを調整するために各紙の相対記事件数を正規化します。最後に、それぞれの月において各紙の正規化されたデータを足し上げ、そうして得られたデータの1987年1月から2015年12月までの平均値が100となるように水準を調整します。指数の作成方法の詳細については、"Policy Uncertainty in Japan"(データファイルや推計プログラムはこちら)や"新聞報道をもとにした政策不確実性指数"をご覧ください。

全政策に加えて個別の政策、具体的には財政政策、金融政策、為替政策そして通商政策の指数も作ります。はじめに全政策の指数を作るために収集した記事のなかから、個別の政策に関係する用語を含む記事を抽出します。続いて抽出された記事件数のデータを用いて、前述したのと同様の方法により個別政策の指数を算出します。各個別政策に関係する用語の全リストについては、前記の論文のTable 2をご覧ください。財政政策を例にとると、財源、税制、歳出、社会保障給付、国の借金など全部で43の用語があります。全政策の指数を作るために収集した記事のなかから、それらのうち少なくとも1つ含む記事を抽出します。抽出された記事件数のデータをもとに財政政策不確実性指数を算出します。

指数のデータ

データの頻度は月次です。データの開始時点は1987年1月です。データは上記のリンクおよびJapan Monthly Indexより入手できます。データを使用する際は次のように出所を明記してください。
出所:"Policy Uncertainty in Japan" by Elif C. Arbatli, Steven J. Davis, Arata Ito, Naoko Miake, and Ikuo Saito
データ更新のタイミングは毎月1日です。ただし、都合により遅れることがあります。

海外の国・地域における指数

Baker, Bloom, and Davis (2016)で考案された方法に倣い、現在は20以上の国・地域の指数と21カ国の指数を総合したグローバル指数が作られています。なお、グローバル指数の構成要素である日本の指数には、さきほど述べた全政策の指数が使われています。海外の国・地域の指数やグローバル指数については、www.PolicyUncertainty.comをご覧ください。
参考文献
Baker, Scott R., Nicholas Bloom, and Steven J. Davis. 2016. "Measuring Economic Policy Uncertainty." Quarterly Journal of Economics 131(4): 1593–636.

関連資料

政治不安定性指数
Japan Political Uncertainty Index


この指数は、報道機関が毎月おこなう世論調査の政党支持率を活用して作られた、政権運営の不安定さを計る尺度です。指数の詳細については、「政府の政策に関する不確実性と経済活動」をご覧ください。データの頻度は月次です。データの開始時点は1978年1月です。

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