「アジア通貨単位(AMU)と東アジア通貨のAMU乖離指標」について
本コーナーは、2005年に伊藤隆敏ファカルティフェローによる「アジアの最適為替制度」プロジェクトにおける小川英治ファカルティフェローと清水順子委員による「アジア通貨単位(AMU)と東アジア通貨のAMU乖離指標」の測定結果として公開を開始した。
尚、AMUのデータは一橋大学のグローバルCOE「社会科学の高度統計・実証分析拠点構築」とRIETIとの共同研究プロジェクトとして、両者のホームページに公開されている。
現在公表されているAMUは、構成通貨とバスケットウェイトの計算方法の違いにより、以下の三種類がある。
詳細については、各々の説明文をご参照ください。
ページ開設にあたって
アジア通貨単位(AMU)と東アジア通貨のAMU乖離指標の目的とは
1997年のアジア通貨危機以降、東南アジア諸国連合(ASEAN)および日本、中国、韓国で構成されるASEAN+3は、域内金融協力を推進してきた。その1つとして、自国通貨を買い支えるために必要な資金を2国間、もしくは多国間の通貨スワップで融通するチェンマイ・イニシアチブ(CMI)の創設が挙げられる。このCMIの下では、今後の通貨危機を防止するために各国金融当局による域内経済のサーベイランス(相互監視)が行われている。
新たなサーベイランス基準として、我々は東アジアにおけるアジア通貨単位(AMU)およびAMU乖離指標の創設を提案する。これらは、東アジアにおける為替相場政策協調に貢献するとともに、金融当局のサーベイランス機能の向上にも貢献すると期待される。AMUは、欧州連合(EU)加盟国がユーロ導入以前に欧州通貨制度(EMS)の下で採用した欧州通貨単位(ECU)を算出する際に用いた手法に基づき、東アジア通貨の加重平均値として算出される。各々の東アジア通貨のAMU乖離指標は、AMUに対してそれぞれの通貨がどれだけ各通貨のベンチマーク率から乖離しているかを測定したものである。
AMU乖離指標として、ここでは日次ベースの名目AMU乖離指標と、各国のインフレ格差を調整した月次ベースの実質AMU乖離指標の2つを提示する。名目AMU乖離指標を見ることにより、各国通貨がAMUからどれだけ乖離しているかをタイムリーにモニターすることが可能となる。一方、実質AMU乖離指標は為替変動が実体経済に及ぼす影響を監視するのにより適していると考えられる。
グラフ
※図をクリックすると拡大されます。
AMU
AMU構成国:ASEAN (Brunei, Cambodia, Indonesia, Laos, Malaysia, Myanmar, Philippines, Singapore, Thailand, Vietnam) +3 (Japan, South Korea, China)
※ミャンマーの実質AMU乖離指標の水準は他国と比較して大幅に高いため、データとグラフ表示から外してある。
AMU-cmim構成国:ASEAN10 +4 (Japan, South Korea, China, Hong Kong)
データ期間:2000年1月から直近まで
※ミャンマーの実質AMU乖離指標の水準は他国と比較して大幅に高いため、データとグラフ表示から外してある。
AMU-wide構成国:ASEAN10 +3 (Japan, South Korea, China) +3 (Australia, New Zealand, India)
データ期間:2000年1月から直近まで
計算方法
データ
AMU日次データ(2000年1月3日から直近まで)
AMU月次データ(2000年1月から直近まで)
AMU-cmimデータ(2000年1月から直近まで)
- AMU-cmimの各通貨に対する日次為替レート[CSV]
- 名目AMU-cmim乖離指標(日次)[CSV]
- 名目AMU-cmim乖離指標(月中平均)[CSV]
- 実質AMU-cmim乖離指標(月中平均)[CSV]
AMU-wideデータ(2000年1月から直近まで)
※最終更新日:2024年09月17日
月次データは毎月初めに更新、日次データは平日毎日更新
AMU乖離指標の加重平均インデックス(Ogawa and Yoshimi,2009)に関するデータをご希望の方は、下記お問い合わせ先までご連絡ください。