プログラム:産業・企業生産性向上

東アジア産業生産性

プロジェクトリーダー/サブリーダー

深尾 京司 顔写真

深尾 京司 (ファカルティフェロー)

リーダー

プロジェクト概要

従来指摘されてきた人口減少や全要素生産性の停滞に加え、2000年代後半以降の有形資産投資の減少、非正規雇用増加や多数の熟練労働者の退職によって2010年代後半以降初めて観測されるようになった労働の質の低下、改善しない無形資産投資の沈滞(労働者の企業内訓練や組織資本蓄積など経済的競争能力への投資が特に少ない)、中国など他の東アジア諸国の追い上げ、等により、日本の長期停滞や製造業における大企業の国際競争力喪失は、更に深刻化しつつある。また新型コロナウイルス感染症流行下で急速に進んだデジタル技術の活用や米中対立による国際分業の変化は、日本経済の今後の成長経路に大きく影響する可能性がある。

本プロジェクトでは、
1) 日本産業生産性(JIP)データベースの更新・遡及(一橋大学経済研究所と協力して行う)とこれを用いた、詳細な産業レベルでの、労働・(無形資産を含む)資本投入の変化や全要素生産性上昇の分析
2) 中国産業生産性(CIP)データベースの改訂(北京大学・一橋大学経済研究所と協力して行う)と、これを用いた中国経済減速の分析
3) World KLEMS、EU KLEMS、アジアKLEMSプロジェクトやOECDとの連携による、生産性の国際比較分析
4) 政府統計企業・事業所データ活用による第4次産業革命と呼ばれる技術進歩、企業の国際化や新型コロナのような自然災害が日本経済の生産性に与える効果および生産性ダイナミクスが日本経済に及ぼす影響の分析
5) 製造業の生産要素投入と全要素生産性(TFP)を詳細な産業別・通勤圏別に計測する新たなデータベースの作成と、都道府県別産業生産性(R-JIP)プロジェクトとの連携による日本の地域間生産性格差の原因や地域振興政策など政策効果の分析
6) 企業財務データバンクの企業データ等を用いた、日本、中国、韓国の上場企業を対象とする東アジア上場企業データベース(EALC)の最近年への拡張(一橋大学経済研究所、学習院大学と協力して行う)と、このデータを用いたR&Dが生産性に与える効果の検証比較

等を通じて、日本と東アジア経済の構造変化を的確に把握し、エビデンスに基づく成長戦略の設計に寄与することを目指す。

プロジェクト期間: 2021年7月 1日 〜 2023年12月31日

(上記プロジェクト期間のうち、研究活動期間は 2021年7月1日 〜 2023年6月30日とし、データ利用報告期間は2023年7月1日 〜 2023年12月31日とする)

主要成果物

2023年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー

RIETIポリシー・ディスカッション・ペーパー

2022年度の成果

RIETIディスカッション・ペーパー