概要
本論文では産業用ロボット輸入が中国企業のパフォーマンスに与える影響を、中国の工業企業データベースと税関データを使用して分析した。実証分析の結果、ロボット輸入は生産性について有意な影響がみられなかった一方で産出量と労働者数については正で有意な影響があることがわかった。貿易面に関して、ロボット輸入のある企業では輸出単価と輸出総額の増加が見られた。また、当該企業については輸入単価の増加と輸入総額の減少が見られた。他方、企業のグローバル・バリューチェーンにおける輸出上流度指数と輸入上流度指数はロボット輸入の増加に伴いいずれも減少したが、前者への影響がより大きいことから、ロボット輸入は企業がグローバル・バリューチェーン上で担う業務の幅を広げることが明らかになった。