テレワークの実態:「就業構造基本調査」ミクロデータに基づく概観

執筆者 森川 正之(特別上席研究員(特任))
発行日/NO. 2024年5月  24-J-015
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概要

本稿は、「就業構造基本調査」(2022年)のミクロデータに基づき、日本におけるテレワークの実態、個人特性とテレワークの関係についての観察事実を整理するものである。その結果によれば、第一に、就労者のテレワーク実施率は20%弱で、テレワーカーの9割以上は在宅勤務者である。第二に、テレワーク実施者のテレワーク頻度は平均35%であり、マクロ経済全体の労働投入量のうちテレワークのシェアは約7%である。第三に、高学歴者、情報通信業従事者、大企業労働者、東京圏の労働者はテレワーク実施率、テレワーク集約度が高い。第四に、男性は女性よりもテレワーク実施率が10%ポイント前後高いが、他の個人特性をコントロールすると男女差は1%ポイント以下に縮小する。第五に、テレワーカーは他の観測可能な特性をコントロールした上で30~40%賃金が高いが、テレワーク頻度が高いほど賃金が高いという関係はない。