執筆者 |
馬場 遼太 (東京大学) /元橋 一之 (ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2013年3月 13-J-016 |
研究プロジェクト | オープンイノベーションの国際比較に関する実証研究 |
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概要
日本において起業家精神やベンチャー企業の活動が相対的に弱いといわれているが、その原因としてベンチャーキャピタルの不足や硬直的な労働市場など環境面に着目した議論が多い。その一方で、起業を行う人材の特性について大規模データに基づいて定量的な分析を行ったものは少ない。ここでは経済産業研究所において行われた「起業意識に関するアンケート調査」のデータを用いて、学歴や職歴などを通じて形成される人的資本と起業活動の関係について分析を行った。起業活動を、計画、実行、事業成功という3つのステップに分けて、それぞれの段階において、人的資本に関する特徴の他、親戚や友人などの周囲の環境、性格や志向といった個人的特性などを説明変数とした回帰分析を行った。その結果、起業に関する計画や実行といった段階においては、大学における課外活動や海外経験などの幅広い分野での経験が重要であるのに対して、事業の成功については、1 つの企業で多くの職種を経験することが重要であることが分かった。つまり、起業活動を活性化させるためには、大学において分野横断的なカリキュラムや課外活動を逍遥することが重要であるが、事業成功については企業内における幅広い職務経験を持つことが必要とされる。
※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:13-E-049