「製造業X」の動向と特徴:日本企業パネルデータによる分析

執筆者 森川 正之(特別上席研究員(特任))
発行日/NO. 2025年9月  25-J-022
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概要

本稿は、日本企業のパネルデータを使用し、製造業企業のサービス化―「製造業X」―の動向を概観する。非製造事業全体だけでなく、狭義のサービス事業活動を分析する点が本稿の特長である。結果の要点は以下の通りである。第一に、製造業企業の中で非製造事業を行う企業、非製造事業の売上高が総売上高に占めるシェアはいずれも増加傾向にある。トレンドを外挿すると、2040年に製造業企業の非製造事業売上高シェアは16.5%に達する計算になる。第二に、機械修理、専門サービス、事業サービスを行う企業の割合、それら事業の売上高比率も増加傾向にあり、狭義のサービス化も徐々に進展している。第三に、製造業企業の中でサービス事業部門、情報サービス事業部門の従業者割合も増加傾向にあり、労働投入面でのサービス化も観察される。第四に、狭義サービス事業の売上シェア拡大は売上高や利益率の伸びとプラスの関係が見られるが、現業部門の労働者構成のサービス化は経営成果とはあまり関係がなく、むしろ本社機能部門の重要性が示唆される。