執筆者 | 森川 正之(特別上席研究員(特任)) |
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発行日/NO. | 2024年12月 24-J-034 |
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概要
男女間賃金格差の縮小が望ましいことに異論は少ないはずだが、格差の原因が何なのかによって適切な対応策は異なる。本稿は、日本企業への独自のサーベイと「企業活動基本調査」をリンクした2015~2021年度のパネルデータを使用し、企業の労働者構成と生産性・賃金の関係―「生産性-賃金ギャップ」―を計測する。その結果によれば、第一に、平均的に見て女性労働者の賃金が、企業の生産性への貢献との比較で低いという関係はない。第二に、労働組合のある企業や女性取締役のいる企業において、女性労働者の賃金が生産性との比較でより高いという関係はなく、むしろ逆である。第三に、パートタイム労働者の賃金が生産性に比べて低いとは言えない。第四に、高学歴労働者の賃金は生産性に比べて低めという関係がある。第五に、ただし、企業固定効果を考慮すると女性労働者、高学歴者の「生産性-賃金ギャップ」は確認できないので、観測されない何らかの企業特性が背後にある。
※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:25-E-008