概要
日本の商店街や米国のダウンタウンのような衰退しつつある小規模商店街にとって、場所に根ざした政策は有効なのだろうか。日本政府が商店街の集客イベント活動を支援するために実施した『GoTo商店街』政策の全国的な一時停止は、そのような政策を評価する機会となった。COVID-19パンデミックの再拡大に伴う政策の停止は、政策の採択者を、(1)政策支援を受けた事業を完全に実施した者、(2)部分的にしか実施しなかった者、(3)停止により実施できなかった者という3つのグループへ外生的に分けたと考えられる。我々は「商店街実態調査」の回顧・カテゴリーデータに基づく売上の変化率データを用いて、商店街の売上高の変化率に関するプロビット推定を行い、政策支援事業の効果の符号を推定した。我々はプロビットモデルの係数の符号が、対数化された売上高に関する差の差モデルにおける係数の符号に相当すると解釈する。プロビット推計の結果、集客イベント事業を十分に実施した商店街は、政策支援事業の中止により事業を実施できなかった商店街に比べ、売上高の減少を抑制していることが明らかになった。