執筆者 | 中村 良平(ファカルティフェロー)/長宗 武司(新見公立大学)/林 秀星(東北大学) |
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発行日/NO. | 2023年8月 23-J-027 |
研究プロジェクト | 地方創生の検証とコロナ禍後の地域経済、都市経済 |
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概要
情報通信業の集積・分散に関する自己組織化シミュレーションを行う事前段階として、我が国の大都市における情報通信業の空間的な集積状況を定量化する。「経済センサス-活動調査」(総務省・経済産業省)の町丁字データを用いて東京23区に加えて地方中枢機能を有する札幌市、仙台市、広島市、福岡市における情報通信業の空間的な分析を試みた。各都市内の小地域単位で空間的自己相関の検出を行った結果、いずれの都市においても情報通信業の事業所の集積を示すホットスポットが都心部で検出された。同時に自己組織化モデルの前提となる集積の経済の影響も確認することができ、情報通信産業が自己組織化モデルのシミュレーションに適した産業であることが確認された。都市における自己組織化モデルはKrugman(1996)が最初にモデル化を行い周縁都市の創発原理を明らかにしたが、それは数値シミュレーションにとどまるものであった。その後Kumar et al. (2007)が、実際のデータを用いて、Krugmanの自己組織化モデルが企業の集積・分散の予測に応用できる可能性を示した。本稿ではエージェントベースモデルによって、我が国の都市における情報通信業の集積・分散の再現と予測についても自己組織化モデルが有効であるかについて検討した。