執筆者 | 井上 俊克(一橋大学)/橋本 由紀(研究員(政策エコノミスト))/坂下 史幸(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)/角谷 和彦(研究員(政策エコノミスト)) |
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発行日/NO. | 2023年3月 23-J-014 |
研究プロジェクト | 総合的EBPM研究 |
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概要
本研究は自己申告バイアスとリピーター企業の影響を考慮し、平成27年度ものづくり補助金事業の効果を分析する。ものづくり補助金の交付事業者が報告した「事業化状況報告書」のデータには桁間違いなど誤記入の可能性が高いデータが少なくなく、この誤記入によって平均的な売上高の変化率が大きく影響を受けていることがわかった。また、ファジー回帰不連続デザインを用いた推定の結果、売上高と一人あたり売上高の両アウトカム変数について、補助金事業の採択事業者と非採択事業者の間に統計的に有意な差を頑健には確認できなかった。ただし、平成27年度ものづくり補助金に不採択となった企業は、次回以降のものづくり補助金への申請率が上昇することもわかった。自己申告バイアスとリピーター企業の影響はいずれも、これまでのものづくり補助金の効果分析では対処しきれていなかった問題であり、自己申告データや不採択企業の再申請によって生じる推定値のバイアスについて、理論面と実証面の両方でさらなる発展が必要である。