執筆者 | 森川 正之(所長・CRO) |
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発行日/NO. | 2022年8月 22-J-029 |
研究プロジェクト | グローバル・サプライチェーンの危機と課題に関する実証研究 |
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概要
本稿は、日本企業を対象とした大規模な企業サーベイのパネルデータ(2004Q2~2021Q2)を使用し、企業が直面するナイト流不確実性の動向や特徴を、コロナ危機の影響に着目しつつ観察するとともに、不確実性と設備投資の関係を分析する。分析結果によれば、第一に、自社業況(ミクロ)の不確実性と国内景況(マクロ)の不確実性の間には正相関があるものの、マクロ経済見通しが不確実でも自社業況の見通しは不確実でない企業が多数存在する。第二に、確実に悪化するという見通しが支配的だった世界経済危機と異なり、コロナ危機下では方向性すらわからないという意味でのナイト流不確実性が大きく高まった。第三に、企業レベルの不確実性は将来の設備投資と負の関係があり、マクロ経済の不確実性よりもミクロレベルの不確実性が支配的な影響を持っている。
※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:22-E-089