自治体DXの実証研究

執筆者 浜口 伸明(ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2022年5月  22-J-018
研究プロジェクト アフターコロナの地域経済政策
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概要

国は業務のデジタル化と官民情報の共有によるデジタル社会の形成に自治体を誘導し、自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進する政策を実施している。本論文は独自のアンケート調査の調査票情報に基づいて自治体DXの現状と課題を分析した。DXの進捗はこれまでのところ低い水準にとどまり、特に小規模自治体の出遅れが目立っている。業務のデジタル化は一定程度進んでいるが、情報処理の自動化、組織および業務フローを見直す全体最適化はあまり行われていない。ノウハウの不足、内部人材育成の難しさ、書面による手続きの多さなど、多くの要因がDXの障害になっている。小規模自治体ではIT設備やセキュリティ体制などハードウエア面での制約にも直面している。計量分析から、住民の要望が自治体のDXを後押しすること、DXの成熟はテレワークの推進や自治体DXを地域産業のデジタル革新に発展させることが示唆された。

※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:22-E-102