乗合バス事業における経営管理がパフォーマンスに与える影響

執筆者 川崎 一泰 (中央大学)/乾 友彦 (ファカルティフェロー)/宮川 努 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2019年9月  19-J-051
研究プロジェクト 生産性向上投資研究
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概要

Bloom and Van Reenen (2007)を皮切りに、経営管理と企業パフォーマンスとの関係が、経済学の文脈でも広く議論されるようになった。当初その分析対象は産出物も計測しやすく、工場の管理もある程度標準化されている製造業の研究が多かった。サービス業については、彼らも製造業とは少し異なる手法で分析を行っており、研究蓄積が進みつつある。

こうした問題意識から、本論文では、海外のサービス業における経営管理の研究にならって、日本の乗合バス事業に焦点をあて、そのパフォーマンスと経営の質の問題を考察した。分析結果から、第一に、公営と民営で比較すると公営の方が経営管理に積極的であることが分かった。第二に、経営管理スコアとパフォーマンスの分析では、製造業の分析でしばしば用いられる産出額や付加価値額などでは有意な結果が得られなかったが、運転士1人当たり輸送人キロなどのアウトプット指標では正で有意な係数が得られた。これは規制産業で高度なサービスが高い料金に結びつかないことに起因しているものと考えられる。第三に、経営管理のスコアを細分化して分析をしたところ、従業員個人よりも組織全体での運行管理が重要であることが示唆された。