幸福感と自己決定―日本における実証研究

執筆者 西村 和雄 (ファカルティフェロー)/八木 匡 (同志社大学)
発行日/NO. 2018年9月  18-J-026
研究プロジェクト 日本経済の成長と生産性向上のための基礎的研究
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概要

国連の世界幸福度報告書によれば、日本の幸福度はそれほど高くなく、また、「人生の選択の自由」が低い傾向がある。1970年代以降、幸福度研究では、「主観的幸福感が所得水準と必ずしも相関しない」ことが重要なテーマの1つになってきた。本研究では、2万人の日本人の調査を行い、様々な質問をすることで、所得、学歴、健康、人間関係、自己決定を説明変数とする分析を行った。その結果、年齢との関係では、幸福感が中年期で落ち込む「U字型曲線」を描き、所得との関係では、所得の増加ほどには主観的幸福感は増加しないことが分かった。また、幸福感を決定する、健康、人間関係に次ぐ要因としては、所得、学歴よりも自己決定が強い影響を与えている。自分で人生の選択をすることが、選んだ行動の動機付けと満足度を高める、それが幸福感を高めることにつながるのであろう。「人生の選択の自由」が低いとみなされる日本社会で、自己決定度の高い人の幸福度が高いということは注目に値する結果である。