執筆者 | 森川 正之 (副所長) |
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発行日/NO. | 2018年3月 18-J-009 |
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概要
本稿は、主要国に比べて長時間通勤者が多い日本における通勤時間やテレワークへの労働者の選好、通勤時間・テレワークと賃金および主観的幸福度の関係について、サーベイ・データに基づいて考察する。その結果によれば、第1に、勤務時間よりも通勤時間が長くなることへの忌避感の方がずっと強く、特に女性・非正規雇用者で顕著である。第2に、長時間通勤に対する賃金プレミアムが存在し、特に女性でこの関係が強い。第3に、女性、若年層、既婚者、就学前児童を持つ人はテレワークを積極的に評価する傾向がある。第4に、テレワークを行っている人は少ないが、賃金、仕事満足度ともに高い傾向がある。以上の結果は、サービス産業の生産性向上、女性・高齢層の就労拡大がともに重要な政策課題となっている中、テレワークやサテライト・オフィスの普及が有効な対応策となりうることを示唆している。
※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:18-E-025