心理指標と消費者マインドはどのように関係しているか?

執筆者 関沢 洋一 (上席研究員) /吉武 尚美 (お茶の水女子大学) /後藤 康雄 (上席研究員)
発行日/NO. 2013年11月  13-J-074
研究プロジェクト 人的資本という観点から見たメンタルヘルスについての研究
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概要

心理的特性が意思決定におよぼす影響については、心理学等において感情を中心として研究が進められており、不安や憂うつなどの否定的感情が悲観的な判断に結びつき、幸福感などの肯定的感情が楽観的な判断に結びつくという結果になっている。本研究では、このような傾向が消費者マインド(内閣府の消費者態度指数の質問を使用)においても見られるか、また、感情以外の心理的特性が消費者マインドに関係しているかを調べた。

6405名のクロスセクショナルデータによる重回帰分析においては、抑うつ度(うつっぽさ)が低いほど、生活満足度が高いほど、楽観度が高いほど、人を信じる程度が強いほど、肯定的感情が強いほど、否定的感情が弱いほど、消費者マインドは改善することがわかった。

469名の1カ月おきの3時点のパネルデータ分析においては、生活満足度が高いほど、楽観度が高いほど、人を信じる程度が強いほど、肯定的感情が強いほど、否定的感情が弱いほど、消費者マインドは改善することがわかった。抑うつ度の変化は、直接的には消費者マインドの変化に結びつかないが、生活満足度・楽観度・肯定的感情・否定的感情の変化を通じて、消費者マインドの変化に結びつく可能性が示された。