銀行別の預金金利パススルー計測による市場分断仮説の検証:パネル共和分による実証分析

執筆者 内野 泰助  (リサーチアソシエイト)
発行日/NO. 2012年7月  12-J-023
研究プロジェクト 効率的な企業金融・企業間ネットワークのあり方を考える研究会
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概要

本稿は、日本における市場金利(国債金利)から預金金利へのパススルー率を計測することで、日本における預金市場が県別に分断されているかどうかを検証する。本稿の特徴は、1999年3月から2010年3月までの日本の地方銀行106行の月次銀行別預金金利データを用いて、各銀行の預金金利パススルー率をパネル共和分の手法を適用して推定する。県別に市場が分断されている場合、寡占的な県に所在する銀行ほどパススルー率が低くなると理論的に予測される。本稿の実証分析からは,推定されたパススルー率は県別の市場集中度(ハーフィンダール指数)と有意な負の相関を示すことが明らかになり、銀行預金市場の県別分断を示唆する結果を得た。