被災地以外の企業における東日本大震災の影響-サプライチェーンにみる企業間ネットワーク構造とその含意-

概要

企業間関係のネットワークをはじめ、社会科学で観測される多くのネットワークでは、「スモールワールド性」を持ち、多くの主体が非常に近い関係を持つことが知られている。日本の産業の競争力は、取引先とのつながりの強さに依存すると考えられてきたが、このような競争力は、震災のようなつながりを断つ現象に対し、脆弱であると考えられる。

東日本大震災において、被災地以外の企業がどの程度の割合で被災地の企業とつながりを持っているのか、約80万社の企業間の取引関係データを用いて分析した。分析の結果、東北以外の地域でも、被災地の取引先の割合は3%未満に過ぎないが、取引先の取引先まで含めると5~6割、さらなる取引先まで含めると9割近くなり、被災地の企業と関係を持たない企業はほとんどいないことが確認された。