執筆者 |
森川 正之 (副所長) |
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発行日/NO. | 2010年3月 10-J-022 |
研究プロジェクト | 産業・企業の生産性と日本の経済成長 |
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概要
本稿は、「企業活動基本調査」のデータを用いて、企業毎のパートタイム労働投入量の正確な捕捉に伴う生産性計測の精度への効果を分析するものである。分析結果によれば、
1)パートタイムの労働時間は同じ産業内でも企業によって大きな異質性がある。
2)パートタイム労働時間として産業集計データを用いた場合、計測される企業レベルの生産性にはサンプル平均値で4%前後、中央値で1~2%のバイアスが生じ、特にパートタイム労働者比率が高い飲食店、小売業、宿泊業等のサービス産業でバイアスが大きい。
3)ただし、企業別労働時間データによる生産性と産業集計データを用いた生産性の間の相関は非常に高く、各種企業特性や政策要因の生産性への効果を分析する際、産業集計データを用いることによって誤った結論を導くおそれは比較的小さい。
4)サービス産業の企業を対象とした生産性分析では、フルタイムとパートタイムを区別してマンアワーを計測することが望ましい。
実効ある経済成長政策を企画・立案することの重要性に鑑みると、企業統計の調査内容充実は費用対効果の高い投資だと考えられる。