日米韓企業のIT経営に関する比較分析

執筆者 元橋 一之  (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2007年7月  07-J-029
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概要

本稿においては、「企業のIT戦略に関する国際比較アンケート調査」(経済産業研究所)のデータを用いて、日米韓の企業におけるIT利活用の実態と企業経営における貢献度に関する比較分析を行った。

その結果、日本企業においては人事・給与・会計や製品の受発注などの定常的業務を効率的に行うための「基幹系システム」において効果を上げているのに対して、米国企業においては経営戦略サポートや市場分析・顧客開発などの企業内データをより高度に解析するための「情報系システム」の利活用が進んでいることが分かった。また、韓国企業においては、日本企業と比べてERPシステムを除いてITシステムの導入は全体的に遅れている。

次に、ITシステムに関する社内体制から、企業がITを経営戦略実現のためのツールとしてどの程度の重きを置いているか読み取ることができるが、最も高く位置づけているのは米国企業であり、その次に日本企業、最後に韓国企業という順番になった。また、ITシステムの外注先について、米国企業は技術動向を把握するためにパートナーと考えているのに対して、日本企業はコスト削減のためのアウトソース先として位置づけている企業が多いことが分かった。