経済協力開発機構(OECD)によると、日本の労働力人口に占める女性就業率は1968年の53.5%から、2000年には56.8%、15年には64.6%まで上昇しています。近年の上昇率は高く、00年から12年の間に3.9%、12年以降の3年間で更に3.9%上昇しています。
女性の労働力率は結婚・出産期に当たる年代に一旦低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇する「M字カーブ」を描くことが知られています。近年、M字の谷の部分が浅くなってきています。13年の男女共同参画白書によると、30〜34歳の女性労働力率は、75年の43.9%から12年には68.6%に上昇しました。
その一方で、国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査(夫婦調査)では、第1子出産前後の女性の継続就業率は、85〜89年に39%、05〜09年に38%とほとんど変わっていません。女性就業率の上昇やM字カーブの解消は、女性の非婚化、晩婚化の結果である可能性もあります。
労働政策研究・研修機構のデータは、13年の管理職に占める女性の割合は、日本(11.2%)が米国(43.4%)、フランス(36.1%)などの欧米諸国のほか、フィリピン(47.1%)、シンガポール(33.7%)などアジア諸国と比べても低いことを示しています。また、OECDの12年の統計によると、日本の女性の賃金は男性より26.5%低く、デンマークの7.0%、米国の19.1%、フランスの13.7%など欧米諸国に比べて男女格差が大きくなっています。
各国ごとの男女格差の大きさを示すジェンダー・ギャップ指数(GGI、男女格差を経済、教育、健康、政治の4分野についてスコア化)は、日本を含むOECDのほぼ全ての国で改善しています。日本の15年のGGIは145力国中101位で、先進国では韓国と共に低いグループに入っています。
4分野の中で、日本は特に政治(国会議員数、閣僚数など)と経済(所得、管理職数など)分野の指数が低くなっています。ただ、近年の女性就業率の上昇が大きいことを考慮すると、今後、これらの指標も改善が期待できるでしょう。
2016年8月23日 日本経済新聞「やさしい経済学―女性の活躍と経済効果」に掲載