失業率は若い人で高く、年を取るにしたがって下がっていき、定年退職年齢になって、再び高くなることが知られています。この傾向は世界共通ですが、なぜ若い人の失業率が高くなるのでしょうか。
若年者の失業率が相対的に高くなる理由は、若年者が離職して新たな仕事をみつける頻度が高いためです。厚生労働省の「雇用動向調査」によると、2012年1年間の男性離職率は全年齢平均で14.8%でしたが、19歳以下は37.8%、20~24歳が24.1%、25~29歳で14.7%と24歳までは高い値になっています。また、同省の別の調査では、09年3月の中学・高校・大学の卒業者が3年以内に離職した割合は、それぞれ64.2%、35.7%、28.8%となっています。
若年者の早期離職は問題だといわれることが多いのですが、必ずしもそうとはいえない面もあります。若いということは、そのあとの職業人生が長いことを意味しています。
職業経験がまだ浅いうちに、いくつかの仕事を試してみて、自分に合った仕事を探し出す。見つかった仕事に腰を落ち着けて、その後の職業人生を過ごしていくというのは、経済学的に考えてみても、極めて合理的な行動です。職場との相性というのは体験してみないとわからない部分が大きいのです。
離職から次の就職までの間には、失業期間が挟まることが多くなります。そのため、若年者の失業率は他の年齢層の失業率に比べて高くなるのです。ただ、離職と新たな職の間に挟まる失業期間ですので、若い人たちの失業期間は、他の年齢層の失業期間に比べると短くなる傾向があります。

2013年10月21日 日本経済新聞「やさしい経済学―雇用を考える 若者と高齢者」に掲載