やさしい経済学―雇用を考える 若者と高齢者

第2回 失業、原因別に3分類

川口 大司
ファカルティフェロー

職を探しているにもかかわらず、職が見つからない状態のことを失業といいます。なぜ失業が生まれるのでしょうか。失業が起こる原因は便宜的に、「需要不足失業」「摩擦的失業」「構造的失業」の3つに分類されます。

需要不足失業とは、経済の先行きに対する不安の高まりなどで消費や投資が冷え込み、経済全体の需要が減少した結果、生産量が減少した時に起こる失業です。

生産量の減少に伴い、労働に対する需要も減少します。需要の減少で失業が発生したとき、賃金が低いなら労働者を多く雇おうとする企業が出てきます。一方で、賃金が低いので働くのをやめようという労働者も増えます。賃金が十分に下がれば、企業と労働者の間の需要と供給が一致して失業は解消されます。つまり、賃金が下がりにくいことが原因で起こるのが需要不足失業です。

摩擦的失業は、労働者が新たに就職や転職しようとする際の職探しの期間に生じる失業のことです。労働者は自分の能力が生かせ、良い待遇を得られる職場を探そうとします。しかし、自分に合った職場探しには、時間がかかりますし、採用までには書類審査や面接など時間もかかり、どうしても一定期間の失業が発生してしまいます。

一方、構造的失業とは、雇用主が労働者に求める技能や学歴、年齢、性別、勤務地といった特性と、失業中の労働者の持つ特性がずれることによって生じる失業です。

工場の海外移転や近隣アジア諸国からの輸入増加で、製造業での雇用が減少しています。製造業で職を失った人がいる一方で、介護職では人手不足が発生しているような状態のことをいいます。

失業は、以上の3つの原因が複合して起こることも多く、必ずしもどれか1つに分類されるというわけではありません。ただ、3つの原因のうち、相対的にどの原因が重要と考えるかによって必要な政策対応が異なってきます。そのため、失業の原因を分けて考えてみることは有用です。

2013年10月18日 日本経済新聞「やさしい経済学―雇用を考える 若者と高齢者」に掲載

2013年11月11日掲載