米国を中心とする人工知能(AI)・IT企業のサービス普及に伴い、日本からのクラウド・ソフト利用料の対外支払いが増え、デジタル関連サービス収支の赤字拡大が続いている。
ところが、財務省・日銀の国際収支統計によると、デジタルサービス輸出の中心となる「通信・コンピュータ・情報サービス」で、2025年1月以降、受け取りが大きく増えている。中でもソフトウエアやIT利用の対価である「コンピュータサービス」の受取額は、同12月に現統計開始の14年以降で最大の1787億円に達した。
背景の一つには、新機種と新作品の投入によるゲームオンライン課金の海外収入増がある。加えて、製造業のデジタル化によるアフターサービス課金の増加もあるようにみえる。たとえば、コマツやオークマなどの建設機械や工作機械では、稼働データ活用や遠隔監視といった継続課金型のデジタルサービスが付加され、デジタルサービス輸出の増加に寄与している。
欧米主要国では、AIの台頭や経済安全保障の観点も踏まえ、インフラ投資やAI・IT関連投資が拡大している。それに応じて日本から建設機械、工作機械や精密機械などの輸出が増え、付随するデジタルサービスの課金がデジタルサービス輸出拡大の追い風となっている。
日本には米マイクロソフトなどの巨大デジタルプラットフォーマーがなく、デジタルサービス分野で劣後しているとみられてきた。
しかし、強みであるモノづくりにデジタルサービスが組み合わされば、日本のデジタルサービス輸出に弾みがつく。ゲームソフト輸出が一例だが、デジタルサービス課金のある機器の輸出においても、世界における日本の有力な勝ち筋がみえてきた。
2026年3月11日 日本経済新聞(夕刊)「十字路」に掲載