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※本プロジェクトは、終了しております。

情報家電の現状と展望

いま、とても売れているデジタル家電とは何か?素朴な疑問からはじまり、それぞれの商品カテゴリ毎にアナログ時代のとの進化のレベルを検証する。さらに通信のデジタル化と融合することで今後どのような社会変化が起きようとしているのか?少しづつ現れているデジタル社会へのイノベーションの萌芽を見つけなから、後の章につづくためのイントロダクション的役割を担う。

2004年12月26日 情報家電と情報経済インフラを考える

e-Japan計画2 2004ではブロードバンドインフラを生かしたIT利活用の促進が目標となっております。しかしながら、インターネットでの電子マネーはまだまだ普及しておらず、ネットの利活用もまだ90年代のインターネットの枠を超えたものにはなっていない「まだまだメールとHPに観られるような情報交換のツールに留まっており、コンテンツ取引、サービス取引を実現するためには、クレジットカードや銀行振込みというネットの外部の力を借りねばならず、情報経済インフラへの成熟には至っていない。」と痛感しています。

他方では、メールを悪用したフィッシング詐欺や悪徳情報サイトなどがインターネットに氾濫しており、正直にいいまして、このような事態では消費者に対して、ネットでのクレジットカードの利用のみしかないとなると、ネットでのBtoCの電子商取引にはまだまだ障壁が高いと考えております。

現在ネットではコンテンツ流通と少額決済は個人情報と決済機能を有する通信キャリアや大手ISPに偏っており、ISPによるコンテンツの囲い込みが進行している実態があります。つまり、流通事業者、サービス事業者と消費者だけでは商取引ができない。商取引するためにはお互いが場所代を場の提供者に払わなくてはならないという環境があります。(定額になりつつありますが・・)

やはり消費者の利便性やコンテンツの選択肢を増やすことを考えたなら、自分が契約している通信キャリアやISPが提供する以外のコンテンツをネットで簡単に買えない。また、買うには銀行決済やクレジット番号の打ち込みや、代引き手数料をはらったエスクローなどを利用しないといけない。というこは1000円未満のモノを購入するには手数料のほうが高くなるという、かなりネット時代には苦しい環境があるのではないでしょうか?近所のレンタルよりもコストが高くなる環境はどうしても消費者にはなじめません。しかし、これぐらいのお手軽な情報(データ)の商取引を実現する少額課金のほうが需要が多いように思えます。(ちょっとiPodとiTunes Storeや着うたにヒントを得ました)スバリ、消費者の不利益でもありますし、コンテンツ事業者にとってもビジネスチャンスを失っているという問題があるのではないでしょうか?

この少額課金を実現する電子マネーの基盤ですが、不思議なことに、インターネットの外側でものすごい勢いで普及しています。それは、JRのスイカやedyなどの非接触型ICカードを利用した電子マネーです。みなさんの財布には1枚は入っているのではないでしょうか?
これらのインターネットでの利用もすでに始まっています。この非接触型ICカードを読み取るリーダライタ装置がパソコン向けには安価に販売されています。しかし、なぜか売れている情報家電向けには販売されていません。(最近は携帯電話には内蔵されはじめましたが・・)
この現実はある意味、今売られている情報家電がまだまだアナログ機能のデジタル化だけのスタンドアローン財としてしか社会の認知が得られず(製造よりインターネットでの利用をあまり意図していないかもしれない)、ネットワーク財としての情報家電としては認知されていない現実を表わしているのではないでしょうか?
これは情報家電のプラットホーム化を目指すためには解決していかなくてはならない目標であると思っております。

リアルの商取引とは、本質的には財と対価の交換を意味します。この交換を可能とする環境は、お互いの信用の立証が基礎となっていることに注目ください。電子マネーのインターネットでの利用というバーチャルな商取引においても同じようなことが言えると思います。

インターネットというオープンな環境では、この信用の立証について、特定の通信キャリアやインフラに依存することなく、参入障壁なく、自由に商取引に参加し、競争できることが、よりよいサービスとコンテンツを生み出しうる要素であり、オープンなネットワークを通じて「決済プラットホーム」「情報家電」「コンテンツ・サービス事業者」そして「消費者」が信頼を持って協調しえる環境つくりが今求められているのではないでしょうか?そのためにはメーカーも自らの機器のプラットホームとしての信用の立証が必要とおもいます。

情報家電も自らがネットでの情報経済の一翼を担うための気概がいま問われていると思います。

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2004年12月26日掲載