| 執筆者 | 宇南山 卓(ファカルティフェロー)/高橋 悠太(大阪大学)/高山 直樹(一橋大学) |
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| 発行日/NO. | 2026年10月 26-J-040 |
| 研究プロジェクト | 経済の非対称性と日本経済の課題 |
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概要
本論文では、完結出生率が1.98から1.40へ低下した1951--55年生まれと1971--75年生まれの世代を対象に、日本で徹底的な子育てが広がったか、すなわち子供に対し投じられる経済資源が増加したか、を検証する。生年コーホート別の生涯育児時間と生涯育児費用を推計し、両世代で比較した結果、以下のことが明らかになった。規模の経済を調整した子供一人あたりの生涯育児時間は、約0.74年から約1.12年へ約1.5倍に増加し、母親一人あたりの生涯総時間も約1.08年から約1.54年へ約1.4倍になった。子供一人あたりの生涯育児費用も、実質支出額でみて約699万円から約772万円へ約1.11倍に増加したが、母親一人あたりの生涯総額は約1,550万円から約1,530万円へとほぼ不変であった。子供の年齢別にみると、育児時間の増加は主に0--5歳の子供に集中し、大学入試に近い16--18歳では増えていない。育児費用の増加も未就学期の保育費用が中心で、増分の約6割が0--5歳に向かい、大学入試に近い16--18歳では家計の負担でみた費用は変わっていない。大学期は、進学率の上昇で授業料支払いが増えた一方で仕送りが減り、合計はほとんど変わらなかった。このように、日本でも子供一人あたりに投じられる経済資源は増加したが、その中心は幼い子供への投入であり、受験競争の激化を背景として米国や韓国などで論じられてきたタイプの徹底的な子育てとは異なる。