| 執筆者 | 上野 貴弘(電力中央研究所) |
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| 発行日/NO. | 2026年9月 26-J-034 |
| 研究プロジェクト | 日本の気候変動対策の総合的研究:GX, EU国境炭素調整と米国の気候変動政策 |
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概要
本稿はEUが実施している炭素国境調整メカニズム(CBAM)の炭素コストを、欧州委員会が設定した国別・品目別の排出原単位のデフォルト値を用いて、代表的な輸出国・品目の組み合わせに対して計算し、CBAMの影響を考察するものである。従来の研究では、CBAMの影響は5~30程度の集約された部門に対して分析されていたが、デフォルト値は多くの品目について、EUの関税品目分類(CN)の8桁細目に対して指定されており、これを用いることでCBAMのコストを細目別に細かい粒度で計算できる。分析の結果、CBAM影響の出方は輸出国と品目の組み合わせ次第であり、貿易フローを変化させる可能性がある組み合わせがある一方で、CBAMの影響が微小な品目も少なからず存在することを明らかにした。加えて、鉄鋼については、CBAM単独ではなく、アンチダンピング税、セーフガード、ロシアへの制裁を踏まえて、貿易への影響を見るべきことが示唆された。輸出国側の立場に立てば、デフォルト値が実態以上に高いと目される品目では実排出量を用いることで負担を減らせることや、高排出プロセスを想定したデフォルト値が設定されている品目では自国内の低排出プロセスからの製品をEUへの輸出に振り向けることで負担を軽減できること、さらに素材ではなく製品に加工して輸出することでCBAMの負担を薄められることを論じた。