| 執筆者 | 加藤 大貴(大阪大学)/中山 一世(大阪大学)/佐々木 周作(大阪大学)/大竹 文雄(ファカルティフェロー) |
|---|---|
| 発行日/NO. | 2026年6月 26-J-029 |
| 研究プロジェクト | 機能するEBPMの実現に向けた総合的研究 |
| ダウンロード/関連リンク |
概要
公衆衛生政策のターゲティングは意思決定者本人を中心に設計されてきたが、本論文は日本の風しんワクチン政策を事例として、その関係者への介入がより有効である可能性を示す。日本では風しん排除に向け、ミドルエイジ男性を対象に抗体検査を入口としてワクチン接種までの一連の予防行動を無料化した。東京の鉄道広告キャンペーンを自然実験として用い、広告鉄道利用の有無・広告視聴・広告後のオフライン予防行動を同一個人レベルで接続することで、公衆衛生広告の効果測定における重要な制約を克服した。その結果、接種対象者本人が広告放映路線を利用しても抗体検査受検率は有意に上昇しなかった一方、配偶者の利用は抗体検査受検率を短期で1.4%ポイント、長期で4.54%ポイント上昇させた。操作変数推定は広告視聴の直接効果が統計的に有意でないことを示しており、配偶者の説得が重要な役割を果たした可能性を示唆する。本結果は、ターゲティング対象を意思決定者の関係者にまで拡張することの有効性を支持する。
(本稿は、英語版のディスカッション・ペーパー(26-E-0XX)の日本語版である)