認知能力、非認知能力、世帯構造の特徴と長期欠席との関係性

執筆者 浅川 慎介(佐賀大学)/阿部 眞子(日本経済研究センター)/大竹 文雄(ファカルティフェロー)/佐野 晋平(神戸大学)/名方 佳寿子(摂南大学)
発行日/NO. 2026年4月  26-J-020
研究プロジェクト 機能するEBPMの実現に向けた総合的研究
ダウンロード/関連リンク

概要

本研究は、2019年から2023年にかけての兵庫県尼崎市の行政データを用い、小中学生における長期欠席に関連する要因を特定した。最小二乗法(OLS)を用いた回帰分析の結果、ひとり親世帯や生活保護受給世帯の児童生徒、および算数/数学のスコアが低い児童生徒において、欠席リスクが高いことが示された。非認知能力に関しては、外向性、協調性、勤勉性、感情的安定性が低く、開放性が高い児童生徒ほど、欠席リスクが高まる傾向が確認された。特筆すべき点として、これらの属性をコントロールした後でも、2023年の長期欠席確率は2019年と比較して大幅に高い水準にあることが明らかになった。

Blinder-Oaxaca分解による分析の結果、コロナ禍における長期欠席の増加は、児童生徒自身の属性の変化によるものではなく、学力、非認知能力、家庭環境といった既存の要因が欠席に与える影響力が増幅したこと(係数効果)に起因していることが示唆された。小学生については、学級規模が欠席に与える影響の増大も要因の一つであった。しかし、依然としてこれらの変数では説明しきれない定数項の影響が大きく、観測できていない構造的・環境的な変化が重要な役割を果たしていることが推察される。