不安の問題を有する勤労者に対する認知行動変容アプローチを用いたWEB心理教育の有効性:ランダム化比較研究

執筆者 関 陽一(千葉大学)/関沢 洋一(上席研究員)/清水 栄司(千葉大学)
発行日/NO. 2026年3月  26-J-017
研究プロジェクト 医療と健康についての今後の政策のあり方を探求するための基礎的研究
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概要

背景:医療機関を受診しておらず精神疾患の診断を受けていないが、不安の問題を有する勤労者が多数存在しており、個々人のウェルビーイングの低下につながるのみならず、労働生産性の低下を通じて経済上の損失を招いている。不安を低下させる取り組みで手軽に実施できるものの確立が急務である。

介入:不安の程度を計測する指標であるGAD-7(全般不安尺度)で不安度が高いことが示された勤労者を対象とするランダム化比較試験を実施し、認知行動変容アプローチを用いたWeb心理教育プログラム(以下WEB心理教育)が対照群と比較して心配不安傾向を軽減するか否かを検証した。介入群は呼吸とイメージによるリラクセーション、注意トレーニング、3つの良いことエクササイズ、問題解決法から構成されるWEB心理教育に週1回の頻度で4週間取り組んだ。対照群はWEBにアクセスし、時刻と天気の入力を週1回の頻度で4週間行った。主要評価項目は4週時点の心配尺度PSWQ、副次評価項目はうつ尺度PHQ-9、不安尺度GAD-7、パフォーマンス尺度WHOHPQとした。1回以上プログラムを実施した者を解析対象者とし、解析手法として混合効果モデルを用いた。

結果:インターネット調査会社による募集に応じた人々のうち適格基準を満たした516人を介入群と対照群に各258人ずつランダムに割り付けた。解析対象者は介入群で175人、対照群で180人であった。分析の結果、主要評価の心配尺度PSWQ は、4週時点で介入群が対照群より有意に改善し(群間差 −2.378, 95%信頼区間: −4.418~−0.337, p = .023)、8週時点のフォローアップ評価でも有意な改善効果は維持された。PHQ-9、GAD-7、WHO-HPQにおいては介入群と対照群に有意差はなかった。

結論:4週間の簡便なWEB 心理教育は、不安を抱える勤労者の心配の軽減に有効である可能性が示唆された。