極端な気温が不登校にあたえる影響

執筆者 内田 真輔(名古屋市立大学)/五由出 龍之介(一橋大学)/中室 牧子(ファカルティフェロー)/樋口 裕城(上智大学)
発行日/NO. 2026年2月  26-J-009
研究プロジェクト 機能するEBPMの実現に向けた総合的研究
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概要

本研究は、極端な気温が小・中学生の不登校に与える影響を定量的に検証する。埼玉県の公立小・中学校に在籍する児童・生徒のパネルデータを用いて、気温が主に不登校に与える影響に着目しつつ、学力や非認知能力、いじめ、暴力行為といった行動について包括的に分析した。分析の結果、前年に極端な高温日および低温日が増加することで、学校・学年あたりの不登校者数が増加することが明らかになった。不登校の増加理由は、病気や事故などではなく、「無気力・不安」によるものが統計的に有意な要因となっていた。また、高温および低温による不登校者数の増加は、とりわけ中学生で顕著にみられた。極端な高温がもたらす負の影響は学校に設置された空調(冷房)によって一部が相殺される可能性も示唆された。一方、いじめや暴力行為には気温の影響がみられなかった。また、先行研究で気温の負の影響が報告されている学力や非認知能力についてもはっきりとした効果は観察されなかった。これらの結果は、学力テストや調査に参加しない不登校者の増加によって推定結果が過小評価されている可能性を示唆している。