AI技術開発とビジネス・ダイナミズム―日本企業の生産性・組織再編・参入退出に関する実証分析―

執筆者 乾 友彦(ファカルティフェロー)/金 榮愨(専修大学)/権 赫旭(ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2026年1月  26-J-004
研究プロジェクト 東アジア産業生産性
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概要

本研究は、AI関連特許を指標として、日本企業におけるAI技術開発が生産性およびビジネス・ダイナミズムとどのように関係しているかを実証的に分析する。分析には、『経済産業省企業活動基本調査』と知的財産研究所(IIP)の特許データベースを接続した企業パネルデータを用い、固定効果推計、イベントスタディ、IPW補正を組み合わせた手法を採用する。

分析の結果、AI技術開発を行う企業は中長期的に高い生産性水準を示す一方、導入前後には一時的な生産性低下を伴う特徴的な動学が観察される。この動きは、新技術導入に伴う調整過程を反映している可能性と、AI技術開発の内生的選択の双方と整合的であり、本研究では因果関係を断定しない。

また、AI技術開発と生産性の関係は企業間で一様ではなく、生産性水準が高い企業や規模の大きい企業においてより明確に観察される。さらに、AI技術開発企業では高スキル労働者比率の上昇や子会社数の減少が確認され、産業レベルではAI技術開発の進展が高生産性企業への再配分と関連していることが示される。