行政業務データを用いた給与収入格差分析

執筆者 北尾 早霧(ファカルティフェロー)/鈴木 通雄(東北大学)/山田 知明(明治大学)
発行日/NO. 2025年9月  25-J-020
研究プロジェクト 家計の異質性、個人・家族とマクロ経済
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概要

本研究は、日本の地方自治体が保有する行政業務データ(約550万人、24市町村)を用いて、所得格差の実態とその推移を分析する。従来のサーベイデータでは把握が困難であった高・低所得層を含む大規模な業務データパネルを活用し、給与収入の格差、時系列での変化、ライフサイクルにおける格差の特徴を詳細に分析する。2011~2023年のデータから、コロナ禍の一時的な所得低下を挟みつつ、多くの自治体で格差縮小傾向が見られた。また、年齢とともに所得水準のばらつきが拡大し、地域差も大きいことが確認された。本研究は、日本における格差研究において行政データの活用可能性を示すものである。