主観的幸福感と関係人口:ネットワーク分析からのアプローチ

執筆者 近藤 恵介(上席研究員)
発行日/NO. 2025年4月  25-J-008
研究プロジェクト 革新創発プラットフォームとしての地域経済
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概要

本研究では、関係人口の概念について、ネットワーク分析の観点から新たな政策評価の枠組みを提案する。急速な人口減少に直面する日本において、政府は、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2019年12月閣議決定)より、地方創生の新たな取り組みとして、「関係人口の創出・拡大」に関する様々な政策に取り組んできた。本研究では、地域と個人のつながりを表すネットワークより、地域にとってどれだけの個人とつながっているのかが「関係人口」、個人にとってどれだけの地域とつながっているのかが「関係地域」として整理できることを示す。そして、人々が複数の関係地域を持つこと(つまり、人々が複数の地域の関係人口になること)によって、より主観的幸福感の高い人生を過ごせるのかを統計的に検証する。人々のこれまでの居住歴を含む個票データから関係地域の変数を作成し分析を行った結果、人生において多様な地域で居住経験を持っている人々は、相対的に主観的幸福感の高い生き方につながっていることが示唆される。