人工知能・ロボットのマクロ経済効果:サーベイに基づく概算

執筆者 森川 正之(特別上席研究員(特任))
発行日/NO. 2024年12月  24-J-033
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概要

本稿は、日本の労働者に対するサーベイに基づき、どのような労働者がどの程度人工知能(AI)やロボットを仕事に利用しているのかを示すとともに、これらの汎用技術が経済全体の生産性をどの程度高めているのかを概算する。その結果によれば、第一に、AIを仕事で利用している人は現時点では約8%だが、この1年間で約1.5倍に増加している。第二に、高学歴、高賃金の労働者ほどAIを利用しており、当面はAIが労働市場全体での格差を拡大する可能性がある。第三に、AIの利用によって経済全体の労働生産性が0.5~0.6%高まっていると概算される。第四に、今後仕事にAIを利用すると予想している人が30%近くおり、AIのマクロ経済効果は拡大していくと考えられる。ただし、AIを最近利用するようになった労働者の場合、AIの効果は相対的に小さく、AIの追加的な生産性効果が逓減していく可能性を示唆している。第五に、サービスロボットを含めてロボットが利用されている職場の労働者は約9%で、産業用ロボット、サービスロボットいずれも、それらの利用が職場の労働生産性を20%程度高めていると認識されている。

※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:24-E-084