執筆者 | 森川 正之(特別上席研究員(特任)) |
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発行日/NO. | 2024年6月 24-J-017 |
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概要
本稿は、日本のエコノミストの経済予測データに基づく不確実性指標を作成した上で、過去約20年間のマクロ経済の先行き不確実性の動向を概観する。結果の要点は以下の通りである。第一に、エコノミストの経済成長率予測には上方(楽観)バイアスがあるが、政府や日本銀行の見通しに比べるとバイアスは小さい。第二に、世界金融危機、新型コロナ危機が極めて大きな不確実性ショックだったことが再確認される。第三に、事後的な予測誤差で測った不確実性は遠い将来の予測で大きい傾向があるが、予測の不一致度で見た不確実性は近い将来の予測ほど大きい。第四に、当年度予測については調査時点が後になるほど、予測時点までの実績値が折り込まれて不確実性が低下していくが、翌年度予測については時間の経過に伴う不確実性の低下は限定的である。第五に、予測の不一致度で測った不確実性は不況期に高い傾向があるが、予測誤差から見た不確実性ではそうした関係が見られない。