行動変容と向社会的意思決定

執筆者 西村 和雄(ファカルティフェロー)/八木 匡(同志社大学)/井上 寛規(久留米大学)
発行日/NO. 2023年12月  23-J-051
研究プロジェクト 日本経済社会の活力回復と生産性向上のための基礎的研究
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概要

本稿では、行動変容のパターンを決定する要素をアンケート調査への回答を基に抽出し、行動変容のパターンと行動変容要素との関係性を明らかにする。本稿で抽出された行動変容要素は、1)忍耐力、2)可塑性、そして3)受容性である。忍耐力は、新たな知識・情報を習得するための努力を行う力を示しており、可塑性は自主的に行動を変え実行できる柔軟さ、受容性は、外的な情報を受け入れて判断する力と解釈している。このような行動変容要素が、働き方およびCOVID-19感染回避行動における行動変容パターンにどのような影響を与えているかを、アンケート調査を基に分析している。分析の結果、働き方における行動変容においても、感染回避行動における行動変容においても、忍耐力が高い人々は、一般的に多くの人々が望ましいと判断する行動変容パターンをとるのに対し、受容性が高い人は忍耐力の高い人とは大きく異なる行動変容パターンを取ることが分かった。また、外食のおける2年後の感染回避行動変化が、行動変容要素によってどのように説明されるかを重回帰分析によって分析し、2年間の変化が行動変容要因によってどのように説明できるかを検証している。