執筆者 | 川上 淳之(東洋大学)/乾 友彦(ファカルティフェロー)/馬 欣欣(法政大学) |
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発行日/NO. | 2023年10月 23-J-041 |
研究プロジェクト | 人的資本(教育・健康)への投資と生産性 |
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概要
本論文は、独立行政法人経済産業研究所にて実施した2022年度「就労環境が不妊治療に与える影響に関するインターネット調査」の結果を用いて、職場の環境が不妊治療の継続に与えた影響について分析を行った。不妊治療は治療のステップの段階に応じて治療費が高額になるため、体外受精・顕微受精を行うためには、世帯収入の確保が必要となる。同時に、ステップの段階が進むに従い女性パートナーの時間的拘束が強くなるため、同じく体外受精・顕微受精を行うために正社員の職を離職し、非正規雇用への転換、もしくは非就業化する傾向が確認された。
このような治療継続の困難性に対し、政府が実施してきた不妊治療に対する助成および保険適用は不妊治療の継続に効果的であることが示される一方、職場のサポートにおいては、不妊治療に適用できる柔軟な休暇制度などでは十分でなく、上司の理解といったコミュニケーションも必要であることが示された。