リース資産投資と設備投資:リース業の技術的特性に関する実証的検討

執筆者 宮川 大介(早稲田大学)/矢澤 広崇(三井住友ファイナンス&リース株式会社)/柳岡 優希(株式会社東京商工リサーチ)/雪本 真治(三井住友ファイナンス&リース株式会社)
発行日/NO. 2023年10月  23-J-040
研究プロジェクト 企業金融・企業行動ダイナミクス研究会
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概要

企業が生産設備などの有形資本を利用するためのチャネルとして、企業自身が設備を取得する「有形固定資産投資」とリース契約を通じて設備を使用する「リース資産投資」が存在する。本研究では、有形固定資産投資とリース資産投資の設備投資機会に対する感応度を比較することで、リース業の技術的な特徴を検討する。未上場企業を含む本邦企業レベルの大規模パネルデータを用いた実証分析の結果から、第一に、有形資本の中古市場が相対的に未発達の業種において、設備投資機会の変化に対してリース資産投資がより感応的に用いられていた。第二に、こうした中古市場が相対的に未発達な業種において、金融制約に直面している企業が設備投資機会の変化に対してリース資産投資をより感応的に用いていた。以上の結果は、中古市場での有形資本の再販売を中心とする管理能力がリース業の重要な技術的特徴であり、こうした技術的特性に基づいて企業の資本蓄積を促進出来る可能性を示唆している。