産学連携と企業の研究パフォーマンス

執筆者 乾 友彦(ファカルティフェロー)/枝村 一磨(神奈川大学)/Russell THOMSON(Swinburne University of Technology)
発行日/NO. 2023年9月  23-J-035
研究プロジェクト 人的資本(教育・健康)への投資と生産性
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概要

本稿では、2001年から2020年までの日本の企業データを用いて、産学連携が企業の研究活動や生産性に与える影響を定量的に分析する。まず、産学連携を行う企業の特性を、研究開発インプットやアウトプット、生産性等の観点で分析する。次に、産学連携を行う企業の特性を踏まえて、産学連携をする企業とそうでない企業を傾向スコアマッチング法でマッチングし、産学連携の実施が生産性や研究費、特許に与える影響をDifference in Differences法で定量的に検証する。研究規模や生産性、在籍する研究者の特性が等しく、産学連携の実施有無のみが異なる企業を比較した結果、産学連携後に研究費が増加し、特に応用開発研究費が増加していることが確認された。また、産学連携の前後で、以前から取り組んでいた技術分野の特許件数に変化はなかったが、以前に取り組んでいなかった技術分野の特許件数に増加傾向がみられた。