日本企業の不確実性：世界金融危機とコロナ危機の比較を中心に

本稿は、日本の代表的なビジネス・サーベイである「全国企業短期経済観測調査」（日本銀行）のオーダーメード集計データを使用し、日本企業が直面してきた不確実性の動向を、世界金融危機とコロナ危機の比較を中心に概観するとともに、不確実性と設備投資の関係を推計する。世界金融危機とコロナ危機の性質は大きく異なり、世界金融危機は需要ショックという性格が強く、かつ、金融面の不確実性増大が顕著だった。一方、コロナ危機は供給ショックと需要ショックが混在した不確実性ショックという性格が強い。国内需給や設備過不足の先行き不確実性は、設備投資と負の関係を持っていることが確認される。