概要
本研究では、日本貿易振興機構(JETRO)による、日本企業の海外ECサイトへの商品販売(越境EC)を支援する事業、JAPAN MALL事業の効果を分析した。本事業においてJETROは、事業データベースに登録している企業を海外ECサイトに紹介し、その日本企業とEC事業者との交渉が成立して商品がECサイトに掲載される際に、同サイト内においてプロモーション活動を支援している。また、ECサイトに掲載する商品の取引は、原則国内商社等に販売することで完結するため、商品の国内納品・国内決裁が可能となり、企業の海外に販売する際の取引費用を軽減することができる。
それらの効果を分析するために本研究では、JETROによって提供された海外ECサイトに紹介された企業リストと経済産業省企業活動基本調査を接合し、差の差推定法を応用した。その結果、輸出額や輸出ステータスに関する正の推定値は観察されるものの、分析の依拠する仮定を満たしていない可能性があり、より精緻な追加的分析が必要であることがわかった。