喫煙と就労・賃金:パネルデータ分析

執筆者 森川 正之(所長・CRO)
発行日/NO. 2023年3月  23-J-010
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概要

本稿は、喫煙と就労・賃金の関係を、最近の日本における喫煙規制の強化や累次のたばこ税率引き上げ、さらに新型コロナ感染症の影響に着目して、これらの前後の時期をカバーする個人レベルのパネルデータを用いて分析する。その結果によれば、第一に、健康増進法改正及び新型コロナ感染症は、喫煙率を▲0.8%ポイントほど引き下げたと見られる一方、たばこ増税による追加的な効果は確認されない。第二に、喫煙者は就労確率が高く、労働時間が長い傾向があるが、喫煙から就労状態や労働時間への因果関係は確認されない。第三に、海外の多くの先行研究とは異なり、喫煙賃金プレミアムが観察されるが、観測されない個人特性によるものである。