国民の中期経済成長予測:不確実性と予測精度

執筆者 森川 正之(所長・CRO)
発行日/NO. 2023年3月  23-J-008
ダウンロード/関連リンク

概要

本稿は、国民の中期的なマクロ経済予測とその事前の主観的不確実性、事後的な予測誤差についての観察事実を提示する。5年間の経済成長率の点予測値とその90%信頼区間を尋ねた個人へのサーベイ・データを使用する。分析結果によれば、第一に、国民の中期的な経済成長予測を事後評価すると、政府、民間エコノミスト、企業の中期予測に比べてはるかに精度が高かった。第二に、事前の主観的不確実性を事後的に評価すると、不確実性を過小あるいは過大に見積もる傾向はなく、したがって信頼区間としての妥当性も高かった。第三に、60歳以上の高齢層は低めの経済成長予測を行うとともに、その不確実性を高く見込む傾向が見られた。第四に、低い経済成長予測は貯蓄志向と正の関係があるが、予測の不確実性と貯蓄志向の間に有意な関係は確認されなかった。