執筆者 | 野方 大輔(佐賀大学) |
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発行日/NO. | 2023年1月 23-J-004 |
研究プロジェクト | アフターコロナの地域経済政策 |
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概要
日本では公共交通の利便性向上を図る目的で、各地でMaaSの実証実験が進められている。この取り組みは将来の観光需要の増加や地域活性化にもつながる有効な手段になると期待されている。しかしMaaSの仕組みを導入した企業にどのような影響があったのか、定量的な評価は蓄積されていない。本稿は、日本におけるMaaSの導入開始から現在(2018~2021年)までの株価データを用いたイベントスタディを実施し、新たな交通サービスの導入活動が各業界にどのような影響を与えたのかを把握しようとするものである。分析の結果、MaaSの導入活動は、陸運業や空運業のような交通サービスのプロバイダの株価動向には有意な影響を与えていなかった。また、輸送機器業界には負の株価反応が見られる。他方で、電気機器メーカーを中心に有意な正の株価反応が確認された。