アジアにおける沖縄県観光需要の要因分析

執筆者 岩橋 培樹(琉球大学)
発行日/NO. 2023年1月  23-J-002
研究プロジェクト アフターコロナの地域経済政策
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概要

本稿では、コロナ禍以前の10年間(2010-2019)にアジア6地域(台北、ソウル、上海、香港、バンコク、シンガポール)から沖縄県を訪れた渡航者数のデータをもとに、沖縄県観光需要の要因分析を行った。第一に、地域内総生産、為替レート、気温差を説明変数とする回帰分析を行いそのインパクトを検証した。沖縄へのアジアからの渡航者数が急拡大した背景には、アジア経済の急成長、そして円安の効果が極めて大きいことが確認された。第二に、沖縄を初めて訪れる渡航者、過去に訪れたことのある渡航者、それぞれの渡航確率が異なるという前提で渡航者数の推移を説明する理論モデルを展開し、アジア4地域について渡航確率の変化を推定した。その結果、とりわけ上海、香港では沖縄を訪れることによって次期以降の渡航確率が上昇している傾向が確認され、沖縄がアジアからの旅行者を一定程度、魅了している実態がうかがえる。