執筆者 | 藤澤 啓子(慶應義塾大学 / 東京財団政策研究所)/杉田 壮一朗(慶應義塾大学 / 東京財団政策研究所)/深井 太洋(筑波大学 / 東京財団政策研究所)/中室 牧子(ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2022年12月 22-J-042 |
研究プロジェクト | 人的資本(教育・健康)への投資と生産性 |
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概要
本研究は、東京都福祉サービス第三者評価結果の分析を通して保育所における第三者評価事業の目的「事業者が提供する福祉サービスの質の向上」及び「利用者のサービス選択に資するための情報となること」が達成されているかを検証することを目的とした。分析対象とした2018~2021年度実施の3084の認可保育所に対する第三者評価結果では、「共通評価項目」と「利用者調査」ともに高い実施率となっているために、保育所間の差異がとらえにくく、質の向上の検証もしにくいことが分かった。また、保育の質を定量的に評価する尺度として信頼性及び妥当性が学術的に確認されている「保育環境評価スケール」を利用し東京都A 市下にある認可保育所を対象に悉皆的に実施された保育の質評価結果と同施設について公表されている第三者評価結果の間には相関関係がないことが示された。さらに、第三者評価結果と子どもの発育状況や就学後の学力、保護者の子どもに対する感情との間にも相関関係がなかった。これらのことから、保育の質をとらえる指標としての第三者評価の評価精度や感度及び評価内容の妥当性について課題があることが示唆された。